スカーレットの悪女
「壱華を独りにするなよ。悔しいが壱華の一番はお前なんだからな、実莉」

「まぁね、13年間一緒だった私たちの絆をナメてもらっちゃ困る……ん?」



いつも通り挑発するような生意気な言葉で対応したけど、違和感を覚えて眉をしかめた。


あれ、実莉って言った?


初めて志勇に名前を呼ばれた気がする。


今までお前とかチビガキとかちんちくりんって呼んでたくせに。


覚えてたんだ私の名前。そうならそうと、早く名前で呼んでよ。


肝心な時に名前呼びってずるいなこの男、さすが人心掌握に長けてる裏社会の人間だ。



「分かった、話すよ」



そう分かっているのに嬉しくて、私はため息混じりに笑った。
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