スカーレットの悪女
「分かってたでしょ志勇。遅かれ早かれこうなるって」



そして反論すらしないこの状況はまずい。


兄貴は絆されすぎだ。


そう思いつつ俺だって“みーちゃん”なんて愛称で呼ぶほど情が芽生えて裏切ることができない。



「壱華は西の切り札。だから壱華を殺すため、切羽詰まった極山ならやりかねない」

「……」

「……志勇?」

「惜しいな、お前が男なら荒瀬に欲しかった」

「そりゃどうも」



黙っていた兄貴は、ふと笑みを見せるとみーちゃんと目を合わせた。


目を見て会話をする。それは兄貴なりの好きにしろ、という意味だった。


察したみーちゃんはふう、とため息をついてソファの背にもたれかかった。


緊張してたらしい、そうは見えなかったけど。
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