スカーレットの悪女
「私も馬鹿じゃないから、荒瀬に迷惑かかることはしないよ。まあでも、今度からちゃんと相談する」

「そうしてくれ。この際伝えるからお前はコソコソ動かずもっと信用しろ。
俺はお前ら姉妹を利用することはねえよ」

「……ありがと」



信頼して欲しいくせに横暴な言葉。でもみーちゃんは少し照れたように笑った。


やっと見せた無邪気な笑顔に、俺の中で込み上げるものがあった。



「みーちゃん」

「何、颯馬」



話しかけると、みーちゃんは少し警戒したようにきゅっと口を閉じる。


俺もまだ信頼されてないか。でも後悔しそうだから伝えておきたい。


みーちゃんはたぶん、自分のことなんて二の次なんだろう。


けどまだ16歳なんだから、覚悟を決めた極道(俺たち)と同じ顔をするなよ。


いつ死んでもいいなんて思わないでくれ。
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