スカーレットの悪女



1週間後、私は潮崎組本家の庭で神木兄弟を待ちわびていた。



「実莉ちゃん、庭に仁王立ちして何やってんだい」

「暑いから中に入りな」



本家勤めのおじさんたちに心配されながら腕を組んで仁王立ち。


潮崎のおじさんたちは最初は私を煙たがってたけど、若くして父親を亡くし、姉をかばって刺されたなどの経緯を知ると手のひらを返して“おじさんたちのこと家族と思っていいから”と優しく接してくれるようになった。



「ありがとうございます、でもそろそろ着くらしいから待っておこうと思って」

「熱中症には気をつけなよ」

「はーい」



背が低くて童顔だからよく子ども扱いされているのは微妙な気持ちになるけど、みんな優しくて暮らしやすい。


おじさんに陽気に返事を返すと、本家の門の前に1台の車が止まった。
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