スカーレットの悪女
「ちなみに俺の彼女でーす」

「あ?」

「冗談だって、怒んなよ理叶」



予想通り微妙な空気になってしまったから、光冴が気を利かせてジョークを言った。


しかし理叶が低い声で睨みを利かせたせいで、神木兄弟はびくっと肩を震わせて驚いていた。


ねえ理叶、暴走族の総長が凄むと怖いって〜!



「理叶、暑くて熱中症になりそうだから早く中に入ろう!私ずっとスタンバってたからもう限界!」



理叶の気分を変えようと、服を掴んで注意を引く。
すると理叶は光冴を睨むのをやめて私に視線を向けた。



「こんなクソ暑い日に外に?相変わらず今日もぶっ飛んでるな」



今度は笑われたけどまあいい。理叶の笑顔は驚くほど優しくて神木兄弟も安心できるはず。


チラッと兄弟を見ると、2人は理叶じゃなくて私を見ていた。


あれ、なんで私?また変なこと言ったっけ。


今の発言は普通だったと思うけど、分からないから理叶の服を掴んだまま本家の屋敷の中に入った。
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