スカーレットの悪女
すると凛太郎は体の向きを変え、優人に向かい合った。



「俺は正直、兄ちゃんが生きてさえいてくれたらそれでいい。兄ちゃんが利用されずに平和に生きられる保証をしてくれるなら、俺は荒瀬に従うよ」



その憂いを帯びた表情から発せられる発言は、13歳とは思えぬほど思慮深く切実なものだった。


凛太郎、もしかして優人の異変に気がついていたの?


優人は弟の発言を受け、目を大きく見開いた。



「凛太郎……まさか」

「俺が気づかないと思った?俺は分かってたよ。分かってて……怖くて聞き出せなかった」



凛太郎は視線を落とし、くしゃっと顔を歪ませて無理やり笑う。


安心と恐怖が入り交じった感情によって、今にも泣き出しそうに思えた。
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