スカーレットの悪女
その瞬間、突然涙腺が崩壊して私は驚いて顔を手で覆った。


しまった、実莉の体はピチピチの16歳だけど、中身の精神年齢はいい歳だから涙腺もろいんだよ!


私はとっさに顔を隠すため、理叶の肩に顔を押し当てた。



「どうした実莉、急に甘えて……ん?」

「うっ、ぐす……」

「え、泣いてんの?なんで!?」



理叶は不思議がって硬直し、光冴は嗚咽を漏らす私を見て大きな声を出した。


「相変わらず行動が意味不明すぎるわ。ねえなんで泣いたの?」

「兄弟愛……尊い……」

「泣くほど?」


意味不明すぎるのは分かってる、でも事実だから仕方ない。


優人と凛太郎。原作では触れられなかった彼らの兄弟愛。


慈愛に満ちた関係性を目の当たりにし、涙を止めることは不可能だった。


その場にいたみんなは突然の奇行に驚いていたけど、理叶はなんだかんだ私が落ち着くまで肩を貸してくれた。
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