スカーレットの悪女
腰に手を当ててドヤ顔をかますと、突然理叶が口を押さえて小刻みに肩を震わせ始めた。



「ふっ、ふはっ……」

「実莉〜、何してくれんの?理叶がツボると長いんだけど」

「え、私のせいなの?」



笑い出したのは私の発言のせいらしい。


基本的に冷静な理叶だけど、割とツボが浅く笑い出したら止まらない。


綺麗な笑顔だけど、笑われてる気がしてなんか嫌。



「相変わらず、ぶっ飛んでるな……」

「なんで?素直に壱華が好きな気持ちを表現してるだけなのに。
ねえ理叶、バカにしてるでしょ」

「いや、バカにはしてないけど元気が出ると思って……ありがとう」



声を抑えて笑う理叶に感謝された。


なんか、嫌な感謝のされ方だな。


喜べないけど、その端正な顔面に免じて許してやるか。
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