スカーレットの悪女
おのれ志勇、壱華の綺麗な肌を傷つけやがった。



「どうしたの、実莉」

「後ろにキスマついてる!首のところ!」



抱きついて大声を上げたものだから、壱華はびっくりして目を丸くしている。


ところがキスマについて指摘すると、今度は眉を下げて困惑した表情を見せた。



「えっ、嘘……見えるところはやめてって言ったのに……」



壱華の反応からして、志勇がつけたもので間違いない。


わざわざ見えるところに付けるとかマジで性格悪い。


最っ悪、今からふたりきりでデートだって張り切ってたのに!



「あんの……ドスケベオオカミが!」



怒りにわなわなと体を震わせ、渾身の悪口を言い放つ。


あの野郎、壱華を置いてどこに行きやがったんだ。見つけ次第処刑だあんなやつ!
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