スカーレットの悪女
憂雅くんの生活拠点である屋敷の一番奥、司水さんの部屋を目指して長い廊下を歩く。


すると、ガラス戸で囲まれた中庭にさしかかったところで誰かに呼ばれた気がした。


声のした方を見ると、向かいの廊下のガラス戸を開け、私に一生懸命手を振る憂雅くんを見つけた。



「やっぱりみのりだ!」

「え、憂雅くん私のこと覚えてくれてたの〜!?やだ天使!」



憂雅くんはぐるっと廊下を走って、満面の笑みで私に飛びついて来てくれた。


相変わらずの人懐っこさにで会った瞬間デレデレ。


抱っこしてくるくる回ると、凛太郎に「ガラス戸割れますよ、危ないですって!」と注意されて正気に戻った。
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