スカーレットの悪女
さすがに司水さんも目を丸くして、その後優しく微笑んだ。



「おや、存外気質のある子ですね、誰かさんにそっくりで子守りなんてもったいない」



誰かさん、と言いながら私に目配せする司水さん。


え、私に似てるってこと?



「ですが幼すぎますから、今は子守りくらいがちょうどいいでしょう。ついてきてください、憂雅の部屋まで案内します」

「は、はい!」



司水さんは大人しく様子を見ていた憂雅くんを抱き上げると、凛太郎を手招いて廊下の奥に進んだ。


凛太郎は一瞬戸惑ったけど歯切れよく返事をしてその後をついていく。


……おっと、もしや凛太郎、司水さんに気に入られたのでは?


気に入られたということは、凛太郎にとって味方が増えるということ。


もしかして、神木兄弟にとって想像以上にいい方向に進んでるのかも。


神木兄弟のこと、すごく悩んだけど上手くいって嬉しい。


私はしばらく口角が上がりっぱなしだった。
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