スカーレットの悪女
「それじゃ、力。後は任せるよ」

「はい、責任持って護衛に努めます」



玄関の外に出ると、スーツ姿の力さんが志勇と颯馬に頭を下げていた。


スーツ着てるってことは、今日は力さんが私たちの護衛に入ってくれるみたいだ。


私はその様子を見ながら壱華に「お待たせ」と笑顔でぎゅっと腕に抱きついて笑いかけた。



「おい、力」

「はい」

「壱華に不用意に触るなよ。
それから、万が一惚れたら承知しねえからな。分かったか」



壱華のことになると余裕のない志勇は、力さん相手に釘を刺している。


そんな怖い顔しなくてもいいのに。力さんビビってるじゃん。



「っ、はい!もちろんでし!」



力さんは緊張するあまり思いっきり噛んだ。


さすがに可哀想、ちょっと助け舟出してやるか。
< 251 / 807 >

この作品をシェア

pagetop