スカーレットの悪女
「大好きな壱華とパパに食べてもらうんだから、腕によりをかけるに決まってんでしょ!
そうと決まればスーパーに寄って帰らなきゃ」

「えー?もう帰んの?来たばっかじゃん」

「なんか今日はバカにされてばっかりだし帰る!」

「あーあ、いじけちゃった」



光冴はプリプリ怒る私を見て楽しそう。


帰る宣言をして、すぐ背中を向けたら、手首を掴まれた。


振り返って驚いた。てっきり光冴と思ったら理叶だったから。



「何か困り事でもあるのか?」

「ん?ないよ、大丈夫」

「実莉は時々、不意にどこか遠くにいってしまいそうで、心配になる」

「大丈夫だって、いくらチビでも風に吹かれたりはしないから」


「実莉、無理はすんなよ。辛い時は俺を頼ってくれ」



ふざけて笑ったら、真剣な瞳を向けられて口を閉じた。

あれ……このセリフ、どっかで聞いた気が。
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