スカーレットの悪女
「はわわわ……見た?」

「見ちゃった……」

「志勇に似ててびっくりした」



縁側から遠目にラブラブな組長夫妻を観察する。


私と涼ちゃんが顔を赤くさせながら顔を見合せていると、壱華が穏やかに笑った。



「え!?あいつあんな顔で笑うの?」

「うん、志勇は笑うと雰囲気変わるから」

「ほんとに?私、あいつの邪悪な笑顔しか見たことない」

「涼ちゃん、私もそうだよ。志勇は壱華の前以外では別人なだけ」



邪悪な笑顔、というフレーズに笑いながら説明。


涼ちゃんは「ふーん、想像できない」と呟きながらふと目を見開いた。



「あ、後片付け忘れてた。戻らなきゃ」



そう言うと涼ちゃんは数歩進んだけど、振り返って戻ってきた。


そして並んで立つ私たちの前で腕を広げ、3人でハグをする形になった。



「今度3人で遊ぼう!約束ね」



基本的にむさ苦しい男に囲まれて姉御肌な涼ちゃん。


でも私たちの前では女の子らしくてかわいい。


私と壱華は大きくうなずいて、涼と別れた。
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