スカーレットの悪女
「涼ってちょっと実莉に似てかわいいね」

「え?そうかなぁ。涼ちゃんは姉御肌なクールビューティって感じだけど」

「わたしが言ってるのは性格のことだよ。素直で天真爛漫で、一緒にいると楽しい」



廊下を歩いて出口の玄関を目指す。


ところで壱華は私のこと、素直で天真爛漫な人間だと思ってくれているらしい。


自分ではしたたかで性格悪いと思ってるけど。


もしかして、壱華もなかなかシスコンだからフィルターかかってるのかな。



「あ、いちかだ!」



とにかく壱華に褒められるのは鼻が高い。


ふふんと得意げに笑うとどこからともなく、元気な憂雅くんの声が聞こえてきた。



「いちか、だっこして〜!」

「憂雅くん、久しぶりだね」



とてとて裸足で廊下を歩きながら、壱華に近づいてきた憂雅くん。


壱華は笑顔で抱き上げようとしたけど、その前に「憂雅、だめだよ」と凛太郎の声が聞こえた。
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