スカーレットの悪女
「ほら憂雅、凛太郎に挨拶してください」

「……りんにいちゃんともうバイバイなの?」



帰る時間が近づいてきたと察した憂雅くんは、ウルウルのおめめで司水さんを見つめる。


私なら絶対悶絶してるけど、司水さんは「十分遊んだでしょう?」と問いかける。


そういえば憂雅くん、保育園や幼稚園には通ってないんだよね。


遊びたい年頃だから、今日1日凛太郎と目いっぱい遊べて楽しかったんだろうな。


余計離れ難いよね。



「大丈夫、また会いに来るよ」

「ほんとに?」



そんな憂雅くんを慰めるように、凛太郎は立ち上がって小指を差し出す。



「うん、約束しよう」

「ぜったいだよ」



凛太郎は優しく微笑んで、憂雅くんと指切りをした。


なんてあたたかくて心が洗われる空間なんだろう。


私は壱華と手を取り合って「尊い……」としきりにつぶやいた。
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