スカーレットの悪女
「壱華を探しに来たに決まってんだろ」



距離を詰められたから、今度は凛太郎の後ろに逃げた。


志勇はその隙に壱華の腰を引き寄せて密着している。


しまった、私に文句を言うのが目的じゃなくて、壱華を独り占めしたかったのか。



「日中壱華を独占してたんだ。お前はさっさとそいつを連れて帰れ」



志勇は顎で凛太郎を指して私を見下す。


たった一日だけじゃん。あんたなんて最近ずっと壱華を独占してるくせに。


キスマークつけるくらい嫉妬に駆られてるちっさい器のくせに!



「志勇、待って」



心の中で文句垂れていると、壱華が志勇から離れて私の前に来た。


腕を広げたから、ハグしてくれるんだと思って抱きついた。
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