スカーレットの悪女
「楽しかったね、実莉。今度は1週間後にまた会おう」

「うん、そうだね。パパを迎える準備をしないと」



そうだ、1週間後は初盆だ。いろいろ準備をしなきゃいけない。


それに壱華の前だと泣いちゃいそうな気がするから、気を強く持たないと。



「それから凛太郎くん、実莉をよろしくね」



壱華は私を抱きしめたまま、近くにいた凛太郎に視線を向けた。



「実莉は強い子だけど、なんでも独りで解決しようとするから話を聞いてあげて。
私には言えなくても、凛太郎くんには言えることもあるかもしれないから」



壱華は私をよく見ている。確かに壱華に言えない話はたくさんあるから、不安に思ってた部分もあるんだろう。


それでも私に問い詰めず、凛太郎に託すのは信頼に値する人間だと認めたからだ。



「はい、任せてください」


振り返ると凛太郎は、胸を張って笑顔で大きく頷いた。
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