スカーレットの悪女

なんの音？どこから聞こえた？



「どうしました、実莉さん」



慌てて道路に飛び出し視界を周囲に走らせると、夕闇の中、近づいてくる人影を見つけてしまった。



一瞬にして最悪の展開を想定をしてしまい、ぞわりと鳥肌が立ち、胃のあたりを掴まれたように苦しくなった。


だって住宅街の細い路地から出てきたと思われるその男は、明らかに周辺住人ではなかった。


挙動と歩き方が不自然で、何かに怯えているように見えた。



「あﾞああぁぁ！」



極めつけに目つきがおかしい、その異変に気がついた途端目が合ってしまい、男は突然奇声を上げて走り出した。