スカーレットの悪女
「壱華……!?」



状況を把握し、慌てふためく志勇の声が聞こえた。


私はどうにか車の前までたどり着き、凛太郎を突き飛ばし、壱華を押し倒した。


その瞬間、耳をつんざく発砲音がした。


とっさに壱華を守るように覆いかぶさってギュッと目をつぶった。


同時に車体に金属片が当たったような音がして、一発目の銃弾は車に当たったのだと判断した。


でもこれで終わりとは思えない。私は壱華に覆いかぶさったまま伏せていた。


しかし、その後はいくら待っても次の発砲はなく、痛みもない。



「実莉、壱華さん、大丈夫っすか!?」



運転席から出てきた剛さんに肩を揺さぶられ、強ばった体に鞭を打って顔を上げた。
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