スカーレットの悪女
「てめえ、どこの鉄砲玉だ!」



目線の先には、門の外に出てきた組員数名にに囲まれていた襲撃者の姿が。


男は武器を取り上げられ押さえつけられて、殴る蹴るの暴行を受けている。


苦悶の表情を浮かべるその顔は、知り合いではなかったため安心したけど、明らかに成人していない少年だった。


子どもを鉄砲玉に使うなんてショックだったけど、襲撃者が優人ではなかったことに安堵した。



「壱華、撃たれてない!?どこも痛くない!?」

「大丈夫……実莉は?」

「私は平気だよ。ああ、よかった……よかった」



とにかく、運命を覆すことができたことに間違いはない。


本来であれば壱華は、肩を撃たれて一生消えない傷を負うのだから。


壱華に抱きついて、心の底から無事であることに安堵した。
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