スカーレットの悪女
それから1時間くらいして、潮崎から迎えの車が来た。



「実莉！」



組員があちこちを巡回し、物々しい雰囲気の厳重警戒の駐車場。

後部座席に乗っていた理叶は私を見かけると血相を変えて走り出し、力強く抱きしめてきた。



「無事でよかった……」



その手は震えていて、理叶に心配をかけてしまったな、と罪悪感に苛まれると同時に、心配してくれる理叶の優しさが胸の奥に染みた。



「今日はあったかくして寝よう」



理叶とは違い、ゆったりと近づいてきた光冴は私の頭に手を置いて優しく撫でる。


安心させようとしてくれているんだ。光冴も相変わらず優しい。



「うん、ありがとう」



2人の想いが伝わって、私は泣きそうな顔で頷いた。


車に乗ると後部座席の真ん中に私を座らせて、両サイドを理叶と光冴が座る。


凛太朗は助手席に座り、車が発進してからすぐ疲れ切ったのか助手席で寝ていて、3人で「ある意味肝据わってる」と感心していた。
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