スカーレットの悪女
お近付きになりたい私は勝手にカウンター内に入り、グラスに冷えた水を注いで彼女の前に立った。



「どうぞ」

「ありが……誰この可愛い子!?」



受け取った涼さんは、私の顔を見て目を大きく見開いた。


す、すごい声量とお手本のようなリアクション。



「どっちの彼女!?美少女じゃんでかしたな!」

「違う、実莉は友達だ」

「そうそう、超シスコンの変わった子だから彼氏もいない」

「一言余計だわ!」



理叶と光冴が誤解を解いてくれたけど、光冴は一言多いからつっこんでしまった。


しまった、清楚系美少女の路線で涼さんと仲良くなろうと思ってたのに。


しかし涼さんはグラスの水を一気飲みして「ぷはっ」と息をついていたから、私のこと見てなかったかも。


よし、では清楚系美少女を演じて可愛がってもらおう。
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