スカーレットの悪女
「みーちゃん!」



潮崎に帰ると、涼ちゃんが理叶と全く同じ反応で抱きついてきた。


顔も性格もあまり似てないけど、こういうところはやっぱり姉弟だなとなんだか嬉しくなった。



「怖かったでしょう、無事で本当によかった……!」

「怖かったけどもう大丈夫、いろんな人が助けてくれたから」



自分でそう口にしてようやく気が付いた。


そうだ、私にはたくさんの仲間がいる。


巻き込むことが怖くて全部ひとりで解決しなきゃと思っていた節もあったけど、本格的に狙われ始めたなら私一人でどうこうできる問題じゃない。


これからは、これまで培ってきた人間関係を利用するのではなく信頼しよう。



「みーちゃんは強いね」

「強くないよ、今は気が張ってるだけ。寝る前にひとりになったらいろいろ実感してくるのかも」

「じゃあ今日は私と一緒に寝よう!お姉ちゃんだと思っていっぱい甘えていいからね」


ほら、こうして私のことを心から想ってくれる人がいる。


私は泣きそうになったけど必死にこらえて涼ちゃんに抱きついた。
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