スカーレットの悪女
「凛太朗、ごめん」
「やめろって、ガキじゃないんだから」
夕食前、トイレに行こうと廊下に出たら、凛太朗と優人が使ってる部屋の引き戸が開いていた。
そっと覗くと、優人はひしっと凛太朗と抱きしめて泣いているように見えた。
凛太朗、思春期の意地を張ってないでハグくらいしてやりなよ。
凛太朗だって逆の立場なら泣いて抱きつくくせに。
「本当にごめん……」
「兄ちゃん……?」
暴れていた凛太朗だけど、優人の真剣なまなざしを見てはたと動きを止めた。
優人が悪いわけじゃない。全ては極山のせいだ。
それなのに凛太朗に謝る優人を見て、私はいたたまれない気持ちになった。
とその時、突然「ブーン」と大きな羽虫が耳の周辺を飛ぶ音がして、焦って首を振ったらよろけて壁に足が当たってしてしまった。
「やだ、アブだ!アブ嫌い!」
でかいハエみたいな虫につきまとわれ、私は腕を振り回して追い払おうと頑張った。
「部屋の前で変な踊りするのやめてください」
すると、呆れた顔の凛太朗が部屋から顔を出して来た。
「やめろって、ガキじゃないんだから」
夕食前、トイレに行こうと廊下に出たら、凛太朗と優人が使ってる部屋の引き戸が開いていた。
そっと覗くと、優人はひしっと凛太朗と抱きしめて泣いているように見えた。
凛太朗、思春期の意地を張ってないでハグくらいしてやりなよ。
凛太朗だって逆の立場なら泣いて抱きつくくせに。
「本当にごめん……」
「兄ちゃん……?」
暴れていた凛太朗だけど、優人の真剣なまなざしを見てはたと動きを止めた。
優人が悪いわけじゃない。全ては極山のせいだ。
それなのに凛太朗に謝る優人を見て、私はいたたまれない気持ちになった。
とその時、突然「ブーン」と大きな羽虫が耳の周辺を飛ぶ音がして、焦って首を振ったらよろけて壁に足が当たってしてしまった。
「やだ、アブだ!アブ嫌い!」
でかいハエみたいな虫につきまとわれ、私は腕を振り回して追い払おうと頑張った。
「部屋の前で変な踊りするのやめてください」
すると、呆れた顔の凛太朗が部屋から顔を出して来た。