スカーレットの悪女
「虫がいたの!でっかいアブ!あれ噛まれたら痛いんだよ」

「そうだとしても追い払い方が変なダンスっておかしいでしょ」

「踊ってるわけじゃないってば!」



凛太朗は私並みに神経が図太いのか、あんなことがあったのに通常運転だ。


くそう、私は命の恩人だぞ。



「実莉ちゃん、凛太朗を助けてくれてありがとう」



ちょっと怖い顔して睨んでいると、今度は優人が部屋から出てきたから笑顔を作った。


優人の朗らかな笑みに心が洗われるようだ。泣いて少し赤みがかった目に母性を刺激され、むしろ私が優人を抱きしめてあげたくなった。
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