スカーレットの悪女
「あー!」

「なんだよ、急に大声出して」

「壱華にもらったブレスレット、壊れちゃった……」



途端にブレスレットを形成していた天然石のビーズがバラバラになって飛散する。


慌てて拾うと、理叶と光冴も一緒になって拾ってくれた。



「……今日の衝撃が致命傷だったかな」



よく見ると、ところどころビーズに摩耗したような傷が入っている。


無我夢中で壱華を助けた時に、傷つけてしまったのかな。



「でも誰も傷つかなくて、本当に良かった」



ショックだったけど前向きに呟いた。


その時、庭に降りてビーズを探してくれていた理叶が「これで最後だと思う」と立ち上がった。


ところが、目線の先にあった私の足を見て硬直する。
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