スカーレットの悪女
「痛いか?」

「……怖かった」



やっと本音を吐き出した私は、みっともなく泣いて理叶と光冴を困らせた。


だけど理叶はすぐに動いて、私の隣に腰を下ろすと背中をさすってくれた。



「もう大丈夫だ」



理叶の声が響いて、涙が次々と流れ落ちる。



「俺たちの前では強がらなくていいから」



いつの間にか隣に座っていた光冴も、安心させるように笑いかけて手を握ってくれた。


ふたりはその後は何も言わず寄り添ってくれた。
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