スカーレットの悪女
「未成年で証拠不十分だから、不起訴になるだろうとこちらから手助けはしなかった。けど、それが間違いだった」

「何があったの?」

「その後、あいつは音信不通になった。親が厳しかったから、素行の悪さから田舎に転校させられたのだろう。周りの人間がこぞってそう決めつけたから、俺はその言葉を鵜呑みにしてしまった」



そう言うと理叶は力なくうなだれた。



「本当は、極山会系の闇金に、親の借金の肩代わりを背負わされていたなんて思ってもいなかった」

「えっ……」



抑揚のない言葉が、大きな衝撃となって襲いかかる。


カタギの人間を平気で巻き込む極山の冷酷さのショックを受けた一方で、謎が解けた。


あの少年はきっと、借金を帳消しにする代わり、荒瀬壱華を殺せと命じられたんだろう。


“魔王”は今回も、壱華を利用することをあきらめて存在を抹消する判断を下したのか。
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