スカーレットの悪女
「……朝から壱華があんな感じでな。お前何か知ってるか?」

「志勇の日々のセクハラ発言にドン引きしてるんじゃないの?」



志勇も勘づいてこそっと耳打ちしてきたけど、ここぞとばかりに日々の仕返しをして、手配された車に乗った。



「あのね、2人に話があるの」

「なんだ」

「どうしたの壱華」



志勇の家にたどり着くと、壱華は「お茶でも飲んで帰って」と私を引き止めた。


そうしてクーラーガンガンに冷えた部屋で冷茶を飲んでいると、壱華は座り直して脚を組んだ。


壱華は女神よろしく微笑んでいるけど、目の奥が全然笑っていない。


私はここでようやく、壱華が怒っていることに気がついた。



「2人とも、そこに正座して」

「は?」

「え?」


しかも怒りの矛先は──私と志勇!?


待って、私たち何かしたっけ!!?
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