スカーレットの悪女
「冗談だろ」

「それだけのことをしたって自覚して」

「……悪かった」


志勇は急にしおらしくなって一回り小さくなった気がした。


そっと壱華の服の裾を掴んでしゅんとうなだれている。


片時も離れたくないんだ、どんだけ壱華のこと好きなの。


やだ、ふだんのギャップも相まって志勇がかわいい。


この男、壱華の前だと本当に別人みたいだ。



「大丈夫。志勇のこと、嫌いになったわけじゃないよ。でもちょっとモヤモヤするから、女の子同士で悩みを聞いてもらう」



志勇は必死に引き留めようとしたけど、壱華は内心女子会が楽しみなのか満面の笑みで志勇に手を振る。



「おい颯馬、どうにかしろ!」

「ウケる、涼ちゃんに報告しよう」



志勇は大慌てで静観していた颯馬に丸投げする。


薄情な颯馬は嬉しそうにニヤニヤ笑って部屋の外に出ていった。


こうしてその日から一週間、壱華は潮崎に寝泊まりすることになった。
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