スカーレットの悪女
「……あっ、誕生日か」

「忘れてたの!?」

「うっそでしょ、みーちゃん!」



だけど実莉はぽかんとした顔で忘れてたなんていうから涼とふたりしてツッコミを入れてしまった。



「忘れちゃってた、最近ほかのことで精一杯で」

「嫌なことは忘れて今日はしっかりお祝いするよ!眠いと思うけどとりあえずリビングに来て、飾りつけだけ見て欲しいの!」



苦笑いする実莉の表情の意味を知って気が引けたけど、涼が腕を引いて実莉をリビングに連れ出してくれた。



「実莉、誕生日おめでとう」

「ハッピーバースデー!」



そこには、いち早く祝いたいと駆けつけてくれた理叶さんと光冴さんが。


彼らは手に持っていたクラッカーを鳴らすと、満面の笑みで実莉を迎え入れた。



「び、びっくりした~!しかもなにこの部屋!超かわいい!」

「へへっ、サプライズ成功」

「ごめんな寝てたのに。早く祝いたくて」



たちまち実莉は笑顔になって、私たちが飾り付けたバルーンをつついたり、かわいく飾りつけした実莉のぬいぐるみを抱っこしたり、幼子のようにはしゃいで全身全霊で喜びを表していた。


だけどこれで終わりじゃない。今日は実莉の誕生日パーティーをする予定だ。


それまで各々寝室に戻って、お昼過ぎにまた集結することにした。
< 332 / 807 >

この作品をシェア

pagetop