スカーレットの悪女
「……実莉のこと邪険に扱わなければいいよ」



壱華はその表情に負けてしまい、志勇の頬に手を伸ばしてなでた。


そのぬくもりを実感するように志勇は目を細め、優しく微笑む。


な、なんだその幸せそうな顔。壱華の前ではこんなにでろっでろに甘い表情なのかこの男!



「実莉、それでも大丈夫?」

「仕方ないなぁ、私のことを大切に扱いたまえよ志勇くん」



ここまで我慢させるのはさすがに可哀想な気がして、顎を上げてふんっと鼻を鳴らしながら許可してやった。



「すぐ調子乗んな。6日間も壱華を独占しやがって」



志勇は睨みを利かせてきたけど、壱華と触れ合ってるからさほど怖くない。


結局壱華と過ごす最終日は、志勇の護衛を含む大所帯で買い物に行くことになった。
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