スカーレットの悪女
不意に、壱華に注がれていた視線が私に向けられた。


私は全く意味がわからず首を傾げた。



「なんで?」

「外面だけはいいが、あいつはサイコパスだ」



その言葉の意味が、私にはさっぱり分からなかった。


サイコパス?変な冗談言わないでよ志勇。



「え?何言ってんの?志勇の方がサイコパスでしょ」

「……」

「あ、ごめんって」



いつものようにおちゃらけると、志勇は眉をひそめた。


なにそれ、本気で忠告してるってこと?


理解し難くて肩をすくめると、志勇は短くため息をついて腕を組んだ。
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