スカーレットの悪女
「その2年後、理叶が身代金を目的に半グレに誘拐された」

「ゆ、誘拐!?そんなことがあったの?」



よくよく考えてみれば、私はこの時代の理叶は知っていても、過去と未来の理叶は知らない。


そんな事件があったことも、全く知らなかった。



「ああ、その時理叶は主犯格の男に反撃して、目を潰して失明させた。たった7歳のガキがな」

「嘘……あの理叶が?」



私の知っている理叶は、冷静で落ち着いていて、言葉で反発するけど、衝動的に人を痛めつけるような性格じゃない。


どちらかと言えば光冴の方が衝動的にカッとなる部分があって危ないと思う。



「あいつは生まれつき道徳心や倫理観が抜け落ちていて、相手を傷つけ、あまつさえ命を奪うことに躊躇いがない。お前の前では必死に取り繕っているようだか、本性は隠せない」



理叶と出会って1年と4か月。仲良くなって、ひとつ屋根の下に暮らしていても、そういった異変は感じ取れなかった。


理叶と光冴と友達になったこと。それを間違いだったとは思いたくない。
< 350 / 807 >

この作品をシェア

pagetop