スカーレットの悪女
今日の会合は、私が報告を終えた時点でお開きになった。


上司である警視監の男は山城に「今年中に決着をつけるのだぞ」などと釘をさして一足先に部屋の外に出た。


私もこの場を離れるかと、彼に背を向けたその時だった。


「おい、佐々木」


魔王を私を引き止めると、反射で振り返った私に悪魔のようなおぞましい笑みを浮かべた。


思わず怖気づいた拍子に、その隙に入り込むかのように彼は声を張った。



「お前の上司……邪魔だな。まるでサツの方が立場が上だと言わんばかりだ」



その後の発言はなかったが、私は動揺した。


つまり、協力者である警察を消せということか。


何を企んでいる、山城。


警視監とのパイプをここで切るのは得策ではない。


魔王の考えはまるで読めないが、ひとまずここは口裏を合わせておこう。
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