スカーレットの悪女
「暗殺は失敗に終わったが、当時親父の側近だった川上(あつし)と、鳴海湊人(みなと)が凶弾に倒れた」



伝統的な必要悪である荒瀬と西雲。


この二大組織を崩してはいけない。


それは日本の裏社会において暗黙の了解だった。


しかし、5年前の奇襲をきっかけに、薄氷の上のかりそめの平穏は崩れ去った。



「川上篤は剛の父親、鳴海湊人は司水の兄貴で……憂雅の本当の父親だ」



荒瀬は幹部を二人亡くし、西雲の組織の一部はその事件をきっかけに、命恋しさに極山に寝返った。


それは紛れもなく、400年以上続く両組織の歴史上最悪の事件だった。
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