スカーレットの悪女
「あいつも要注意だが、上がパクられちゃ極山と繋がりがあっても動けねえだろ」

「あの人、何者なの?」

「元々は大阪のマル暴で、西雲の動向を嗅ぎまわってたサツの犬だ。
5年前の事件で記憶喪失になってもサツを続けるイカれた野郎だよ」

「5年前の事件?」



また、知らない情報だ。


そういえば、西雲のスパイである彼が、なぜ東京にいるのか私は知らなかった。



「当時、勢いのあった西雲会が海外のマフィアと麻薬(ヤク)の取引をすることになっていた。密告を受けた佐々木は港に待ち伏せして、主犯の赤星という男と船の上でもみ合いになった。
2人は海に投げ出され行方不明になった。誰もが死んだと思ったが、1か月後、佐々木はひょっこり現れて生きていたことが発覚したんだ」



……そういうことだったのか。


ようやく合点がいった。そういう経緯があったのか。
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