スカーレットの悪女
ちなみに原作では壱華は黒地に赤い椿の振袖だったけど、今の壱華には洗礼されたこのデザインの方が似合っていると思う。



「さすが女神……ああっ、まだ写真撮り足りない……あいたっ!」



スマホで写真を撮り続けていると、突然頭頂部に痛みが走った。


振り返ると、黒いコートに黒スーツで決めた志勇が、新年早々お怒りモードで私にチョップをしていた。



「正月からうるせえな。俺にも壱華の振袖姿見せろよ。前をちょこまかすんな」

「志勇あけおめ!私の女神に最強の振袖をプレゼントしてくれてありがとう!」

「誰がお前のだって?俺の女神に決まってんだろ」



手短に新年の挨拶を済ませてお礼を述べると、俺のものだとどや顔で訂正された。



「綺麗だな壱華。よく似合ってる」



そして壱華に近づき、満面の笑みで壱華に熱視線を注ぐ。


壱華は「ありがとう」とはにかみ最強にかわいい。



「くうっ、新年から供給過多……ありがとうございます!」



私の前では見られなかった、好きな人といる時に見せる特別な表情。


ほんの少しさみしいけど、壱華が幸せそうで私も胸がいっぱいだった。
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