スカーレットの悪女
「もう怖いものなしだね、みーちゃん」


怖いものなしというか、荒瀬の人間たちとだいぶ打ち解けたんだと思う。


志勇とは壱華を巡って喧嘩してばかりだけどお互いに警戒心なんて全くないし、颯馬は最初すごい嫌味ったらしい男だったけど今では心配性のお兄ちゃんみたいだ。


いい方向に進んでる、それは確か。



「ふはは、ひれ伏すがよい!」

「はは、テンション上がってるみーちゃんだるっ」



嬉しくなって調子に乗ると、前言撤回、颯馬は乾いた笑みで私をバカにしてきた。



「正月から面と向かって悪口言わないでくれる!?」

「はいはい、もう着くよー」



キッと睨んだけど適当にあしらわれて効果なし。


愛情があるのは確かだけど、やっぱり荒瀬の男っていじわるだ。


私は再び頬を膨らませながら目的地の神社に降り立った。
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