スカーレットの悪女
「兄貴相変わらずキモイな〜。
うわ、みーちゃんすっごい変顔。涼ちゃんに見せよ」



しかしスマホを構えられて共感してくれない。


くそぅ、他人の不幸大好きマンめ。



「黒だと脱がせたときに壱華の肌の白さが際立つし、うん、いいな」

「ぬわー!セクハラ反対!」



前方では未だに志勇がおしりを触りながらセクハラ発言をかましている。


護衛の人に囲まれてるから見えないにしてもTPOを考えろ!このドスケベオオカミめ!


思わず突撃しておしりを触っている手を叩こうとすると、その前に壱華が大きくため息をついた。



「煩悩の塊ね。108回の鐘の音じゃ足りなかった?」



よく言った壱華、まったくもってその通りだ!


ふふん、正月から呆れられてやんの!


周りを固めていた護衛たちも、壱華の冷静なツッコミにみんな吹き出して笑っていた。



「その顔やめろ腹立つ」



志勇は護衛の人たちはスルーしてたけど、私の冷やかしのふざけた顔には目くじらを立てて顔をしかめた。


そんな顔しても壱華の美しい振袖姿に表情筋ゆるゆるだから怖くないっての。
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