スカーレットの悪女
「はあ!?なんなのあんた!」

「いきなり失礼でしょ、関係ないくせに!」



するとびっくりするくらい簡単に怒りの矛先が変わった。


単純なお嬢様たちですこと。



「は?こっちのセリフなんだけど。そのレベルで壱華に勝てると思ってんの?鏡見てきなよ」



噛み付いてきたから笑みを消して生意気な発言をかますと、私の正面にいた女が、顔を真っ赤にして手を振り上げた。



「このっ!……えっ」



すると、黙っていた剛さんがすっと間に割って入って私の代わりに肩を叩かれた。


剛さんならこんなの痛くもかゆくもないはず。


でも、荒瀬組幹部の剛さんに手を上げたなんて、大問題だよね。



「えー?信じられない。志勇の側近の剛さんに殴りかかるなんて」



私はかばってくれた剛さんの肩をさすりながら彼女たちを煽った。
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