スカーレットの悪女

「あんたを殴ろうとしたのよ！」

「そうだとしても危害を加えられたのは剛さんだよ。この意味が分かる？」

「俺もこの目ではっきり見たから、ふたりのご両親には伝えておくね。
“あんたらの娘が本家の幹部に危害を加えたんだけど、どう落とし前つけるんだ”って」



すると人を貶めるのが大好きな颯馬が踊り出て、理解できていない彼女たちに解説してあげていた。


ようやく事の重大さに気が付き、真っ赤になっていた顔が徐々に青ざめていく。



「違っ……そんなつもりじゃ！」



言い訳を述べようとしたけど、ずいっと颯馬さんが顔を近づけて黙らせた。



「調子に乗るなよ、俺たちに足元も及ばない立場の分際で。これ以上事を大きくさせたくなけりゃ尻尾巻いて帰りな」



出たー、颯馬の二面性。私だから平気だけど、普通の人間は震えあがるよね。


たまらず2人は涙目になって退散していった。


壱華に危害を加えようとした罰だ、2人ともこっぴどく両親に叱られやがれ！