スカーレットの悪女
「理叶、光冴……どういうこと!?」



荒瀬組の幹部である潮崎組。


その息子である理叶なら、なんらかの情報を知っているはず。


そう思ってバーに入って開口一番尋ねると、2人は戸惑って目を逸らした。


ほら、やっぱり知ってるんだ。



「ねえ、2人は知ってた?」

「……」

「後見人は知り合いの弁護士の先生だって言ってたのに、荒瀬志勇が名乗り出たって。
なんであの男が介入してくるの!?」

「……すまない、荒瀬組上層部の決定だ。覆せなかった」


理叶は深く頭を下げて、膝の上の拳をぎゅっと握る。

違う、理叶が悪いわけじゃない。理叶に謝って欲しいわけじゃない。



「そんな……」



だけど他人を労る余裕がなくて私はぽつりと呟いた。
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