スカーレットの悪女
「俺に課せられた使命は、相川実莉の殺害。成功すれば神木は救われる」



それが答えということなのか。


だけど優人は、引き金に触れなかった。



「実莉ちゃん、最後に凛太郎と二人きりの時間を設けてくれてありがとう。この半年間は幸せだった」



数秒間、膠着状態でにらみ合っていると、優人は構えを解いて笑った。


不気味なほど清々しい笑みだった。



「おかげで覚悟ができた」



そう言うと私に向けていた銃口を、自分の顎先に突きつけた。


銃身を握り、反対の手で引き金に指にかける。


まさか──



「凛太郎をよろしく」

「嫌だ、そんなのだめ……お願いやめて!!」



自決する気だ、止めないと!
< 413 / 807 >

この作品をシェア

pagetop