スカーレットの悪女
大誤算だ、擁護した神木優人が裏切るだなんて。


救ったつもりになって油断していた。


彼が裏切るなんて微塵も思っていなかった。


自分の浅はかさを知り、無力さを恨んだ。



「凛太朗をよろしくなんて……優人が生きてないと意味がないんだよ」



自害する前、銃口を突き付けたその顔はやるせなさと悔しさで満ちていた。


ショックにその場から離れられず、私はうずくまっていた。


しかし、足元に血溜まりが広がっていく様子を見て立ち上がった。


凄惨な光景にうまく呼吸ができない。


息を、息をしろ。次の手を考えないと。



「ううっ……」



深く息を吸い込んだその時、後ろから唸り声が聞こえてハッとした。
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