スカーレットの悪女
「剛さん、動ける?」

「……なんとか」



私は運転席で止血している剛さんに話しかけた。


よかった、肩をかすっただけだ。


原作ではお腹を打たれて1か月入院するほどの大けがだったはず。


わざと急所を外したんだ。狙撃手が優人だったのは、せめてもの救いだった。



「志勇、今からすぐここを離れて。
私たちのことはいいから!早く壱華を連れて逃げて!」



だけど、一刻も早くここを離れなければならない。


襲撃はこれで終わりじゃないんだ。


これから起こりうる最悪の結果を避けるために、今は逃げなければ。



「そうは言っても動けねえ。見ろ、流れ弾で車がパンクした」



ところが車はさっきの襲撃でパンクしてしまったらしい。


志勇が指さした後輪を見ると、タイヤが潰れてしまっている。



「だったら潮崎の車を使ってください。俺たちは狙われることはないと思います」

「俺と理叶はいいけど、実莉は連れて行ってください」



すると理叶と光冴が自分たちの車を使うように志勇に提案した。


かくして私たちは潮崎の車で本家に避難することになった。
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