スカーレットの悪女
やはりこのタイミングで介入してきたか。


原作では、志勇は佐々木に脚と肩を撃ち抜かれ重傷を負う。


今は志勇が立っていられること、流血量からして死に至るほどの重傷ではないことは明白だ。


しかし、だからと言って追撃してこないとは言い切れない。


佐々木は人を撃ったというのに冷静で、そこに得体の知れない恐怖を覚えた。


すると、佐々木は壱華を見つめて手を差し出した。



「相川壱華さん、こちらに来てくだされば彼をこれ以上傷つけはしません」

「罠だ壱華、行くな!」

「ご安心を、すべて終わればお返しします。我々の……西雲会の宿願を果たすことができれば」

「……お前」



突然の提案に顔を上げる壱華。しかし志勇は壱華の頭を押さえて佐々木と顔を合わせないようにした。


しかし、佐々木が西雲と口にすると、志勇は顔を上げた。
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