スカーレットの悪女
「ええ、私は極山の回し者ではありません。確かにこれは荒瀬志勇と相川壱華、おふたりを殺害するための極山の落とした暴動ですが」

「西雲の目的はなんだ」

「我々はあなたを助けたい。これから抗争が起これば荒瀬は壱華さんを守りきれないでしょう」

「助けたい、だと?」

「彼女を手放せば済む話がこじれて抗争にまで発展したとなると、さすがに荒瀬の上層部の堪忍袋の緒が切れる。このままだと内部の人間に殺されますよ」



佐々木の意見は最もだった。


裏社会は残酷だ。不要なものは切り捨てる。


志勇のエゴで囲っていた壱華も、抗争の火種になるのなら捨ててしまおうと考えるだろう。


しかしそれは極山の思うつぼ。内部崩壊を起こ
せば過去の西雲と同じく弱体化してしまう。
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