スカーレットの悪女
どうして……こうならないためにできる限りの手を尽くしてきたのに。


結局、やることなすこと全てが無駄だった。


私は膝から崩れ落ち、その場に座り込んだ。



「ごめんなさい、私のせいで壱華が……ごめんなさい」



絶望に打ちひしがれ、無意味な謝罪を繰り返す。



「泣くな、てめえの役目は終わったんだよ」



されど、志勇はこの状況でも決してあきらめなかった。


志勇は佐々木を見据えてゆっくりと立ち上がる。



「これからは俺が壱華を護る、実莉はそれを後ろで見守ってろ」



その目に強い光を宿し、一心に壱華を見つめる志勇。


あまりの迫力に、佐々木の部下が後ずさりしたほどだった


佐々木はその気迫を前にしても表情は変わらず、私に向けていた銃口を志勇の頭に向けた。
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